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2011年2月10日木曜日

ウィキリークスへのオランダの対応

 2010年11月末、ジュリアン・アサンジ氏が主宰するウィキリークスを通して、アメリカ合衆国の外交機密文書およそ25万点が漏洩し、アメリカ合衆国政府に大きな衝撃を与えた。
ヨーロッパでも、新聞・テレビが、かなり浮き足立ってニュースを伝えた。ジャーナリズムのあり方、第四の権力と言われるマスメディアのあり方を等、これほど格好の材料はない。
新聞などの論考では、当然賛否両論はある。ヒラリー・クリントンの狼狽ぶりにも、「安全保障のための機密はやむを得ない」という論理が成り立ちそうではある。しかし、本当にそうなのか、、、

ウィキリークス騒動から2ヶ月足らずの後、年が開け、お正月気分もそろそろ抜け始めてきた1月半ば、オランダでも、テレビ局や新聞社が、それぞれ山のような漏洩文書を手に入れ、分析を始めた。
今さら、「漏洩サイト」の賛否を論じていても仕方が無い。出てしまった文書の中に、自国に関するどんな話が、一般庶民には見えないところで行われているのか、一日も早く分析しておかなくてはならない、そう考えるのがジャーナリストたちの常識だろう。

まずはじめに出てきたスキャンダルは、昨年3月に解散した前政権の副首相ワウター・ボスをめぐる、オランダの政治家たちとアメリカ合衆国政府とのやりとりだった。

労働党の党首だったボス氏は、オランダ軍のアフガニスタン派兵延長に反対し、これが原因で、連立政権を脱退していた。解散前からすでに、連立政権の両翼だったCDA(キリスト教民主連盟)とPvdA(労働党)の間には、かなり深い亀裂があり、CDAのバルケンエンデ首相とPvdAのボス副首相との関係は犬猿の仲らしい、という噂もあった。ウィキリークスによって漏れてきた外交文書の内容は、どうやらそのことを裏付けし、具体的な内容も教えてくれるものだった。

1月20日付のNRC紙は、漏洩された文書から、CDAの政治家に近いトップ官僚らが、アメリカ合衆国経由で、ボスに圧力を掛けるよう働きかけていた、という事実が浮かび上がった、とつたえた。「ボスは、副手層を引退したあと、国際的なキャリアをつもうと野望を燃やしているから」と示唆して、NATOのオランダ対しやアメリカからの対しらを通して、アメリカ合衆国が「ボスの国際的な信用はアフガニスタンからの撤退を頑強に主張することで失われるだろう、国債キャリアへのチャンスはなくなるぞ」とか「オランダはアフガニスタン戦争に参加しているからG20にも招待されているのだ」ということを、ボスに伝えて、圧力をかけて欲しいと繰り返し頼んでいたらしいことが、明らかになった、という。これは、この後、テレビでも話題となり、新聞紙上でも議論がかわされた。

もっとも、アメリカに圧力をかけていたCDAは、すでに、解散後の選挙で議席数が半減している。もともと、CDAが、伝統的に親米的な政党であることは、だれでも知っている。だから、今回のスキャンダルは、天地をひっくり返すような大騒ぎにはならなかったし、国民は「ああ、その程度のものか」と思ったのかもしれない。

それからおよそ20日ほど経過したわけだが、今も、夕方8時のプライムタイムのニュースでは、「今日のウィキリークスの話題は、、、」という感じで、定番のスポットになってきている。たいていは、それほど大きな話題ではないが、それでも、出てきた情報を処理するのはマスメディアの仕事だ。何しろ、外交機密文書とあっては、官僚や政治家に任せられる仕事ではない。さりとて、何もしなければ、国民は自国の政治形のやりとりに無知蒙昧な状態に放置されることになる。面倒でも、今、世界中の誰にでもアクセスできる情報の中に、オランダの交換たちのどんなやりとりが漏れ伝わっているのかを把握しておくのは当然だ。

アメリカの覇権にゆらぎが見え、中国やインドなどが台頭し、北朝鮮という爆弾を抱え、ロシアの陰も見え隠れしているアジア・極東状況。そんな中で、日本の交換とアメリカ合衆国政府筋との間でどんなやりとりが交わされているかは、多分、日本に関心のある外国の交換ならすぐにでもウィキリークスに接近して情報をつかむことだろう。そうして、それをもとに、日本に働きかけてくるのではないのか?
そんな折に、日本国内の住民が、そういう情報を知らされていなければ、政治家や官僚たちは、いったい、どういう対応を取るつもりだろう?どうやってつじつまを合わせるつもりだろう?

ウィキリークスに対する、オランダのマスメディアの対応は、マスメディアの役割とは何かを鮮やかに見せてくれている。


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そんな中で、チュニジアに端を発し、アラブ世界の民主化運動が始まった。

民主運動をやる民衆らは、ネット情報でもかなり繋がっているらしい。

どうやら、世界がいよいよ民主化運動に向けて動き始めたのかな、とも思える。

政治を、独裁者や馬鹿な官僚に任せているわけにはいかない、と一般民衆が怒りの声を上げ始めている。

アメリカなど西側の報道に対抗する、アルジャジーラの活躍も目覚しい。

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そういう世界のメディア状況の中で、日本では、ウィキリークスの漏洩情報を伝える媒体が少ない。日本の主流のメディアは、まだ平和ボケから冷めずに、眠りこけているのではないのか。


そんな中で、やっと今日、こんなサイトを見つけた。

http://wikileaks-japan.blogspot.com/search/label/%E6%97%A5%E6%9C%AC